魚雷戦ゲーム(三代目)
昭和46年(1971)/エポック社
小学5年生にタイムスリップ
小学校5年生の正月、当時八重洲地下街にあった玩具店「いせや」で母親に買ってもらった魚雷戦ゲームは果たしてどれだったのか?
アナログゲーム収集から20年の時を経て、長年抱えてきた疑問に対し、このたびようやく確たる答を導き出すことができた。
今回のウェブサイトリニューアル(&サイト移転)に際し、いろいろと調査の末、魚雷戦ゲームは様々なマイナーチェンジを施されて五代目まで作られていたことを、今さらながら知った。
その時点で筆者が所有していたのは初代・二代目・四代目・五代目。そして長らくミッシングリンクとなっていた幻とも言うべき三代目こそが、その昔筆者が散々遊んだ機種であったことをついにはっきりと思い出すことができた。
その決め手はリフレクトスコープ。
ゲームの際、駆使した記憶はおぼろげながらも脳裏の奥に焼き付いているが、それは五代目のような、発射台とは別の独立した存在ではなく、発射台そのものに搭載されていた。
だとすると、それは三代目以外には考えられない。
奇跡的なタイミングでちょうどインターネットオークションに出品されていた本機を運よく落札し、手元に届いて外箱を開けた瞬間、51年前にタイムスリップした筆者は思わず「これだよこれ!」と大声を張り上げて歓喜した。
しかもこれで結果的に魚雷戦ゲームをコンプリートしたことになる。めでたしめでたし。
リフレクトスコープ
この三代目で新たに搭載された画期的装備がリフレクトスコープ。
発射台中央の穴から覗くと反射板を通じてはるか彼方を進む敵艦隊が見え、そこに狙いを定めると比較的高確率で命中、撃沈せしめることができるというのが大きな特徴だ。
しかし今回、動画撮影のために半世紀ぶりに試射してみたが、実のところリフレクトスコープで敵艦をロックオンして魚雷を発射しても、必ずしも確実に命中するとは限らないことがわかった。
したがってこのリフレクトスコープは先端的機能というより、むしろ大海戦というスケールの大きなコンセプトのゲームに、さらなるリアリティとスリルを与えるための演出的装置だと考えた方が、ゲーム自体をより楽しめることができそうだ。
そして何より、魚雷を敵艦に命中させることが思った以上に難しいことを再認識した。
かくして魚雷戦ゲーム史上屈指の名機が誕生した。
明るくなった海面
リフレクトスコープ搭載の陰に隠れて見落とされがちだが、初代・二代目からのもう一つの大きな変化が、海面を表すプラスチック版が従来の濃紺から明るい青色に変わった点。
「リアルな海面の色」という点では断然、従来の濃紺に軍配が上がろう。
実際、本機のように明るく透き通った海面などあろうはずもない。
しかしその反面、従来の濃紺プラスチック板では、水中を潜行する鉄球(魚雷)の動きが少なからず見えにくかったことは確かだ。
恐らくは魚雷の軌道を見やすくするために従来より明るい青色のプラスチック板が採用されたと思われるが、逆にそれによって「命中してからでないとわからない」というスリルや恐怖が少なからず軽減されてしまったような気もしないでもない。
その点についても社内で活発な議論が交わされたものと思われるが、エポック社として最終的には「より万人受けする見やすさ・わかりやすさ」を優先させた結果、今回の変化に至ったことは間違いなかろう。