デラックスホッケーゲーム
昭和41年(1966)/エポック社
デラックス
他の項でも述べてきたが、この当時エポック社の主力アナログスポーツゲームには、サイズと機能によって差別化された複数の機種がラインナップされていた。
野球盤(小さい順にC型/B型/A型)しかり、サッカー(同じく小さい順にノーマル/デラックス/ジャンボ)、ボウリング(ジュニア/ノーマル/カスタム)もまたしかり。
それはこのホッケーゲームについても同様のことがいえる。
小型のジュニアホッケーゲームが40cm×27cmであるのに対し、このデラックスホッケーゲームはひと回り大きめの53cm×36cmと、いずれもサッカーゲームにおけるジュニアとノーマルのサイズと同一だ。
サッカーゲームとホッケーゲームでの最大かつ最上位機種のジャンボ型が登場するのはプラスチック成型時代に入ってのことで、ブリキ板当時はデラックスとジュニアの2サイズ展開。
ただしホッケーゲームに関してはプラスチック成型時代において、サッカーのデラックスに相当する中位機種はなぜか発売されず、ノーマルとジャンボの2種類。
さらに付け加えるとブリキ板時代においてはサッカー、ホッケーとも最下位機種には「ジュニア」の名称が付されているものの、サッカーの中位機種には本機のように「デラックス」の文字は見られず、単に「サッカーゲーム」と名付けられている。
以上どうでもいいようなややこしい話で恐縮。
盤面の構造に関して言えば、ブリキ板ジュニアホッケーゲームではゴールがリンク外に飛び出しているのに対し、本機ではリンク内に収まっている。
このゴール位置の違いもサッカーゲームにおけるブリキ板最下位機種と中位機種との相違点とまったく同じ。
このことから、ホッケーゲームの全体構造は、サッカーゲームにおけるそれの、言葉は悪いが使い回しであると容易に推測できよう。
ブリキ製横断幕
それでは本機にサイズ以外の「デラックス感」は見出せるのか?
本機と同型の「サッカーゲーム」においては、昭和40年代感タップリの「ヤンマーVS三菱」の得点板が目を引いた。
しかしホッケー版デラックス仕様はその比ではない。
なんとリンク左右をまたぐ巨大な、しかもブリキ製の横断幕得点板が誇らしげに掲げられている。
上の写真は小さくて恐縮だが、HOCKEY GAMEの文字を挟んだ左右に、赤と青のダイヤル式得点板が見える。
さらには横断幕横のポール部分に、ゲーム開始時にパックを投げ入れる青いスターターまで付いている。
これらにより、否が応にも対戦気分が盛り上がること間違いなし、心憎いばかりの演出だ。
地を這うシュート
本機におけるゴールはサッカーのそれよりはかなり低くなっており、まさに本物さながらだ。
サッカーゲームのボールより少なからず重いホッケーゲームのパック、万が一にもにも宙を高く飛んでゴールネットに突き刺さることもなかろうと踏んだエポック社開発陣による、ゴールを低くして面積を少なくするという英断が、ゲームにさらなるスリルとリアリティを付加することに成功したと言えるだろう、お見事!