アイスホッケーゲーム

発売年不明/エポック社

アイスホッケーゲーム 全景

結構重い

エポック社アイスホッケー3機種目(未確認)にして初めて商品名に「アイス」の文字が加えられた、ある意味記念碑的機種。

以下20年前の記事を引用する。


「サイズは42cm×27cmと小型ながら、厚手のプラスチックで作られた本機はサイズの割に重みがある。
恐らくはプラスチック第一世代の製品であろう。

後に登場する、恐らくはプラ成型加工技術が格段の進歩を遂げたことによる、薄くて軽いリンクにはない独特の重厚感を堪能できる」


筐体にこのような厚手プラスチックを採用した機種は(サッカー含む)他に見られず、筆者の知る限りでは本機が唯一となっている。
ということは、本機が開発・製作されたのは、昭和40年代前半のブリキ板から現在にも通ずる薄手プラスチック成型版に至る間の、まさに過渡期と位置付けることができるのではなかろうか。

思えばこれ以前のブリキ板ゲームはホッケー・サッカーを問わず、選手を操作するレバーとブリキ競技場との摩擦音が「キィキィ」と鳴ることがあり、それが少なからず耳障りであった。

よって当時のエポック社開発陣がプレー中にそのような異音が発生しにくいプラスチック製への早期の移行を模索していたであろうことは想像に難くない。

ようやくその念願が叶った本機だが、金属音が発生しないことでプレイヤーがゲームに集中できるようになった代償は、思わぬところに潜んでいた。



アイスホッケーゲーム 試合開始

選手も重い

小さな写真でわかりずらくで恐縮だが、この選手人形も競技場と同じく厚手のプラチックで作らていて、ブリキ板選手に比べると少なからず重い。

操作レバーを押し引きしての前後の移動は確かに異音もなくスムーズになったが、その重さゆえ若干スピード感に欠ける。

さらに問題になるのが選手の向きを変えるとき。
指先でレバーを回転させるのだが、ここでもその重さにより、クルックルッと勢いよく回ってくれるブリキ板選手のような俊敏さは期待できない。

しかしよく考えれば彼らアイスホッケー選手はサッカー選手と違い、ヘルメットを始めとする、全部で10kgもの防具を装着し(ゴールキーパーは20kg!)、加えて手にはスティックを持ち、足にはスケートを履いている。
サッカー選手ほどの身軽な動きは最初から望むべくもないのだ。



アイスホッケーゲーム ブリキキーパー

パックも重い

選手人形との比率で見るとパックの大きさがよくわかる。
そしてその重さはサッカーボールの比ではない。

ここまでくると選手にとってそれはもはやアイスホッケーのパックというよりは、むしろカーリングのストーンのようだ。

スピーディーなパス回しで相手を翻弄し、目にも止まらなぬ速さで華麗なシュートを決めるというアイスホッケー本来の醍醐味とは真逆の、20kg近くあるストーンをスティックを巧みに使ってエッチラオッチラ相手のゴールまで運搬するゲーム、と言った方が適切かもしれない。

もちろん、それでも十分楽しめるけどね。

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