ダイヤモンドボーリング
昭和46年(1971)/ヨネザワ
ヨネザワ社製の原型か
本機の出自は少々謎めいている。
20年以上前に私が入手した際の外箱には確かに「ダイヤモンドボーリング」と印刷されていた。
ところがまったく同じサイズ(未確認)・デザイン・構造と思しき商品が「ダイヤモンドベビーボーリング」と表記されたパッケージでも発売されていた。
ここからはまったくの邪推で恐縮だが、要はこういう事ではないか。
昭和46年(1971)、ヨネザワはまず「ダイヤモンドボーリング」という商品名で(もしかすると試験的に)本機をボウリングゲーム市場に投入した。
折からのボウリングブームで本機の売上も順調に推移したことにより、同社は急遽(か、あるいは当初から予定されていたか)、大型化してより本格的な機能を付加した上位2機種を、それぞれ「キングボーリング」「クインズボーリング」という名で発売した。
そこでそれら上記機種との差別化の必要を感じた同社は、結果的に普及版に相当する位置づけとなった本機を、小型という意味を込めて「ベビーボーリング」と改称した。
…以上はあくまでも妄想だが、当たらずとも遠からず、というところではなかろうか。
もしそうだとすると、本機こそがヨネザワのボーリングゲームにおける記念碑的作品と言うことができるだろう。
(筆者注:上記文中、一般的な競技・市場という意味では「ボウリング」を用いているが、ヨネザワ製のゲームを表す際には、同社のネーミングを尊重して「ボーリング」と記述している。ややこしいが念のため)
青い三角定規
「キミは~何をい~ま~♪」…あ、失礼。
ボーリングゲームの醍醐味のひとつは、超大型高級機から普及機まで、機種によってさまざまなピンセッティングシステム。
中には「これはボーリングではなくて、単にピンセッティングを楽しむためのゲームではないのか?」と首をかしげたくなるほど複雑怪奇なピンセッターを搭載している機種もある。
逆に、最もシンプルなピンセッティングシステムは本機と、野村トーイ「ファミリーボーリング」シリーズに採用されている「三角定規式」。
さすがに少々味気ない気もしないでもないが、なんといっても壊れにくいのが最大の利点、もちろん三角定規を踏みつぶさない限りの話だが。
苦み走った投球人形
ヨネザワお家芸の「顔が真ん中で割れている選手人形」は本機種においても健在だ。
というより先に述べたように、本機が同社ボーリングゲームの嚆矢であるとするならば、顔割れ選手人形の歴史も彼から始まったことになり、それを思うとつとに感慨深い。
後継機キングボーリングにおいては、純日本的な顔立ちに変貌を遂げた男性選手人形も、ここでは日焼けした鼻筋の通った精悍な風貌にロマンスグレーのヘアスタイルがよく似合う、長身痩躯の外国人選手をイメージしているようだ。
しかしこの選手、泣いているのか笑っているのか。その微妙な表情から、一見するとクールな彼の内面を垣間見ることは難しい。
あるいはひょとすると、ヨネザワ十八番の「お玉競争式投球方式」に、すっかり嫌気が差してしまっているのかもしれない。