ファミリーボーリングジャンボ
昭和46年(1971)/野村トーイ
ジャンボ
レーン全長80mを誇るジャンボサイズのボーリングゲーム。
とはいえ本機の特徴はといえばただデカいという点。別項にて紹介しているレギュラー版ファミリーボーリングを単に二回りほど大型化しただけで、それ以外にはこれといって差異は認められない。
とあるウェブサイトに掲載されている野村トーイの昭和46年(1971)版玩具カタログに、本機は「全国統一価格¥1,300」記されている。
ちなみに同じ写真に並んで写っているレギュラー版ファミリーボーリングは「全国統一価格¥850」とある。
ただ単にサイズが違うだけなら、そりゃ庶民感覚としては「だったら小さい方でいいんじゃないの?」となるだろう。他メーカーのようにもうひと工夫できなかったものかと惜しまれる。
せめてシールで
レギュラー版との違いはレーンにプリントされた商品ロゴのサイズ、そしてジャンボの投球装置にのみ貼付されたこの選手シール。
これではいくらなんでも味気なかろう。
しかし、微笑すら浮かべながら投球するその横顔からは「投球装置はシンプルな滑り台式がいちばん」と胸を張る、当時わが国の玩具業界を牽引していたといっても過言ではない野村トーイの誇りと矜持が、ひしひしと伝わってくるかのようだ。
と、このときは早計にもそう思ったのだが…。
サイズ感比較
上が全長60cmのレギュラー版、下が80cmのジャンボ本機。
何から何まで同じその姿はまるで一卵性親子。
当時レギュラー版で遊んでいた身としては、カッコいい選手人形とリアルなレーンの木目(の盤面プリント)を併せ持つエポック社のパーフェクトボウリングにはずいぶん憧れもした。
しかし、もしこのとき玩具店のショーウィンドーで、野村トーイのジャンボとレギュラーを見比べたとしたら「大きさ以外は何も変わらないから、小さい方でいいや」と言うだろう。
ところがここでひとつ大きな疑問が沸き上がる。
野村トーイは一方でビッグボーリング(及びニュービッグボーリング)という、リアルな選手人形とシステマティックなピンセッティングが売り物の、本機よりはるかにゴージャスでハイクラスなボーリングゲームを、シンプル極まりない本機と同年に発売している。
エポック社は「パーフェクトボウリング」の名の下に、最上記機種から普及(最下位)機種までの商品を複数ラインナップしている。
それに対して、野村トーイの場合は同じボウリングゲームでも構造や機能が大きく異なる「ビッグボーリング」と「ファミリーボーリング」という2つのシリーズでそれぞれ複数商品展開を行っている。
いったいこれは何を意図してのものなのか?
…ビッグとファミリー、このネーミングの違いだけで、その答は容易に推測できよう。かといって、そこに言及しても切なくなるだけなので、本機についてはこのあたりで筆を置いた方がよさそうだ。