ビッグエッグ野球盤カスタム

平成元年(1989)/エポック社

ビッグエッグ野球盤カスタム 全景

ドーム型野球盤

時代は平成へと変わり、ドーム型野球盤が登場した。
当時TVゲームに奪われて久しい子どもたちの興味と関心を取り戻すべく、エポック社が総力を結集して開発したであろうことは想像に難くない。
注目の新機能満載だが、まずは同社野球盤史上初めて屋根が付けられた。場外に飛び出すホームラン打球の行方を心配せずに遊べるという大きなメリットがあるが、反面ある種の閉塞感は否めない。
屋根の取り外しは自由。両翼38cm、中堅スタンドまで39cmと従来のC型よりさらに小ぶりながらも、圧倒的存在感を放っている。

ビッグエッグ野球盤カスタム 投球装置

オートリターン機能

本気に採用された数々の機能の内、打球が球場内のどこに飛ぼうが、地下道を通って自動的にピッチャーズマウンドの投球装置に戻ってくるオートリターン機能の素晴しさは特筆に値する。
たかが野球盤、されど野球盤。誕生から30年、今なお進化を求めて止まない開発陣の想像を絶する苦労と努力には、脱帽するよりほかない。
一方、ご覧のように消える魔球装置はここでも健在。リアリティを追求するなら当然不要であろうが、もはやエポック社野球盤の象徴であろうし、駆け引きによるゲーム性を高めるという側面から、その存続を決定したものと勝手に推測している。

ビッグエッグ野球盤カスタム 打撃装置

レバー式打撃復活

ドームをかぶせて遊ぶとなると、すべての操作は当然球場の外で行われなければならない。そこで問題になってくるのが 従来はグラウンド内、それも左打者のすぐ横にあったワンタッチ・ヒッティング用ボタン。
エポック社はここで、実に勇気ある決断を下す。なんとデラックス野球盤以来約25年ぶりに、あのレバー式ヒッティング機能を復活させたのである。
写真手前の赤いレバーを手前に引くとバットが構えられ、離すと同時に豪快にスイングする。個人的には盤上に手を置くワンタッチ・ヒッティング式に多少ならずも違和感を覚えていた。それ以上にこのレバー・ヒッティング式のメリットは、バットを振りかざす角度が自由であるという点だ。
レバー操作の熟達により、引っ張りはもちろんのこと、流し打ち、バント、バスターまで可能になる。
このような「遊戯者の技量」がゲームに反映されてこそ、それぞれの個性を持った実在の選手への感情移入が可能になり、遊びがよりエキサイティングに、より味わい深いものになるというものだ。
話は変わるが、外野フェンスには企業の広告看板シールが貼付されている。既に消滅したものもあれば未だ健在のものもあるが、トアルコトラジャコーヒーを日々愛飲している身としては、キーコーヒーの看板が特にうれしい。
ここで素朴な疑問。この各企業のロゴ入り看板シールの設置に際しては、エポック社側から各企業に社名ロゴ使用料が支払われたのか、あるいはその逆に企業側からエポック社への広告費が発生したのか?
一方、新時代を迎えた野球盤からひっそりと姿を消したものがある。そう、あの選手人形だ(オートランナー除く)。
地味な存在ながら長年ゲームを盛り立て続けてくれた名もなき選手たちだが、時代の流れと自らの寄る年波でここに引退。長い間ご苦労様でした。
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