野球盤1号機復刻版

平成12年(2000)/エポック社

野球盤1号機復刻版 全景

2千台限定復刻盤

20年以上前のこと。
野球盤をはじめとする昭和のアナログゲームを収集していることを10歳年上の友人に話すと、彼曰く、
「いちばん最初の野球盤は選手が”こけし”だったんだぜ、知らないだろう?」
「えっ、当時実際に遊んだのですか?」
「ああ、家にあったよ。アレどこへやっちゃったかなあ」
「もし出てきたら私にください、お金払いますから」
残念ながらこの話はこれきりになってしまたっが、その後しばらくして、エポック社から昭和33年(1958)に発売された野球盤1号機の復刻版が2千台限定で発売されると知った。
もちろん私自身は同機にお目にかかったことすらなく、何の思い入れもないが、清水の舞台からから飛び降りる覚悟で¥18,000の大金を支払って予約、無事手にすることができた。

野球盤1号機復刻版 こけし投手

こけし選手

エポック社の野球盤サイトによると、盤の枠と基盤は建具職人が、人形はこけし職人が製作したとある。 これはもはや玩具ではなく、遊べる家具とでも読んだ方が適切ではあるまいか。
昭和33年(1958)と言えばまだ私はこの世になく、この年から始まった年次統計調査によると同年の平均月給¥16,608。それに対してこの野球盤1号機の販売価格は¥1,850と、平均月給の1割以上だ。
件の友人の家は自営業を営んでおり、失礼ながらさして裕福だったとも思えない。親御さんが長男である彼のために、20年前の私と同じように意を決して大枚をはたいて購入したであろうことは容易に推察できる。どうか今でも押入れの奥に大切にしまわれてありますように。
しなみに投手の胸にあるCは広島カープではなくセントラルリーグを意味する。そして後にいる二塁走者のPはもちろんパシフィックのP。

野球盤1号機復刻版 投球装置

直球一本勝負

上の写真は得点版裏の投球装置。消える魔球はもちろん、カーブ・シュートすらなく、ただひたすら直球勝負。
ボールが目の前で消えり曲がったりする心配もないので、打者も集中して来た球をひっぱたく。
余計な?駆け引きなどない、まさに昭和30年代の野武士野球の原点がここにある。
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