ビッグエアロドーム
昭和63年(1988)発売/ヨネザワ
史上空前の大珍品
20年以上前に当サイトの前身となるホームページ「野球盤道場」を制作したは、あくまで子供の頃に遊んだ(あるいは買ってもらえなかった)ゲームたちとの再会。
本機の発売は昭和63年(1988)、同時すでに29歳になっていた筆者にとって、本機はまったくの収集対象外であったはずだ。
しかしそこは収集癖の悲しさ、見たことのない珍品がネットオークションに出品されるとついつい落札してしまう。
ああ、この当時散々使ったカネが今少しでも手元に残っていれば…(じっと遠くを見る)。
気を取り直して、本機は東京ドーム誕生と時を同じくしてヨネザワから発売された同社初の野球(ここまで立体的だともはや「盤」とは呼べないだろう)ゲーム。
その特徴はエアロの名が示す通り、投球がゴロではなく、実際に宙を飛んでやってくるところにある。
複雑怪奇な投球装置
投球がゴロではく宙を飛ぶと書いたが「送風によって投球が宙に浮いたままソロ~リソロリと移動してやってくる」という表現の方が的を射ている。
以下、20年前当時の記述を引用する。
「単2電池2本を装着し、スイッチをONにして投球すると地下を這う電動極細パイプから風が出てボール(発泡スチロール)を宙に浮かせる。
パイプはホームへと移動し、ボールを空中運搬して打者の元に届ける」
そのための投球操作がまた複雑。
「そのようなボール運びを実現するのにピッチャー側は大忙しだ。
ボールの高さ、球種を決め、青いレバーを引いて自動返球されたボールを押し出し、送風をONONにしてピッチングボタンを押す」
一球投げるのに、いったいどれほど時間がかかるのか。
宙を舞うボール
スマホや動画投稿サイトはもちろん、ブロードバンドもWi-Fiもなかった20年以上前、動画ではなく「動く絵」を見せるためには、このようなパラパラ漫画以外に手段はなかった。
しかし本機の投球は、実際にこのパラパラ漫画のようにフンワリと宙を飛んで打者の元に届いたのは紛れもない事実。
エポック社の牙城を崩すべく画期的になアイデアを具現化~商品化して世に出したヨネザワ。その結果は今とはなっては知る由もないが、同社はその後、平成3年(1991)に株式会社エスパルに買収され、やがて株式会社セガの傘下に入ることになる。