怪獣ボウリング
昭和46年(1971)/ブルマァク
ウルトラマンも大興奮?
久々に地球の日本に帰ってきたら、そこはボウリング天国。
さすがの正義の味方もブームには逆らえない。
「帰ってきたウルトラマン」が放映された昭和46年(1971)は日本列島を熱狂の渦に巻き込んだボウリングゲームの真っただ中。
ウルトラマンや怪獣のソフビ人形で名を馳せた玩具メーカー・ブルマァクがそれを黙って指をくわえて見ているはずもなく、同年「怪獣ボウリング」と名付けられた本機を発売した。
ボウリングブーム×ウルトラマンのリバイバル人気に安易に便乗したキワモノ的商品と思われがちだが、どうしてどうして、一本芯の通った、なかなか質の高いゲーム。
しかしその一方、帰ってきたウルトラマンがピンに見立てた怪獣たち(実際、それぞれのピンには異なる怪獣のシールが貼られている)をスペシウム光線ならぬボウリングのボールでなぎ倒すというコンセプトは、少々安易すぎて興ざめする。
リアルだが小型の投球人形
さすがソフビのブルマァクだけあって、実際には投球しないとはいえ、ウルトラマン投球人形のフォルムは見事な出来栄えだ。
しかし惜しむらくは、レーンの長さとの整合性を図るためであろうが、そのサイズは高さ約7cmとかなり小さめで、主役としてのインパクトに欠ける。
それを補完する意味もあってか、レーン左横には高い位置からボールを滑り台式投球装置まで転がして運搬する「とい」と、その下にウルトラマンや怪獣たちが大きく描かれた、まるで映画の看板のような、大きなパネルが取付けられる(「とい」とパネルは取付けなくても遊べる)。
ピンセッターは秀逸
えてして人気キャラクターを前面に押し出したこの手の玩具は、ともするとそれ以外の部分がおざなりに作られがちだが、本機は違う。
ピンセッター(本機外箱に印刷された説明書きでは「リセッター」と呼ばれる)上部のツマミを回転させることでピンセッターとスウィーパー(同じく「ピンはらい」と呼ばれる)を連結せしめていた突起が引っ込み、スウィーパーはピンセッターから分離する。
その状態でピンセッターを持ち上げると、その奥にある穴と金属棒でつながっているスウィーパーが連動してレーン上を這うように後方に移動し、レーン上に散らばった倒れたピンを奥に「はらう」。
極めてシンプルな構造だが、本物のボウリング場のようなスウィープ動作が楽しめるボウリングゲームは数少ないだけに貴重だ。
なお「帰ってきたウルトラマンが主役なのに、なぜ『怪獣ボウリング』というネーミングがなされたのか?」という素朴な疑問に関しては、恐らく「ウルトラボーリング」(中嶋製作所)という名のボウリングゲームが当時すでに発売されていたので、それとの混同を避ける配慮が働いたため、と推測できよう。