The Simpsons Barney's Bowl-A-Rama-Game

2002年/Rocket USA

The Simpsons Barney's Bowl-A-Rama-Game(2002) 全景

ボウリングゲーム番外編

2002年発売、アメリカで人気のTVアニメ「シンプソンズ」の主人公・ホーマーを投球人形に据えた商品。
したがって、当サイトのメインテーマである「昭和」でも「レトロ」でもなんでもない、比較的最近のアメリカンなボウリングゲーム。

失礼ながら「シンプソンズ」は見たこともないし興味もないが、2000年代に入ってアメリカで発売されたというボウリングゲームに興味が湧いて入手した。



The Simpsons Barney's Bowl-A-Rama-Game(2002)投球装置

シンプルというよりプリミティヴ

まず驚いたのが2002年の発売にもかかわらず、なんとブリキ製であるということ。
その上かんじんのピンセッティングについていえば、筆者が知る限りの最もシンプルな「三角定規式ピンセッター」すら装備されていない。
そのため、プレイヤーはレーン上に印刷された10個の円上に、1本ずつ完全手作業でピンを立たせていかねばならない。

なんと面倒くさい!

この作業は、日本国内の各玩具メーカーが工夫を凝らした機種によってさまざまなピンセッティング装置を堪能してきた身にとっては、苦行以外の何物でもない。

一方、投球装置は基本的にはバネの反動で右手がボールを打ち出すというものだが、その衝撃があまりに強すぎるせいか、ボールはレーン上をゴロゴロと転がるのではなく、恐るべき速度でピン目がけて宙を飛んで行く。

それはもはやボウリングのボウルというより、弾丸に近い。

ピンセッティングといいボールの速度といい、そこにはボウリングゲームの面白さは微塵も感じられず、シンプルというよりもはやプリミティヴ(原始的)とでも形容した方がよさそうな、2002年の発売にしては、お粗末極まりないゲームに思える。



The Simpsons Barney's Bowl-A-Rama-Game(2002) 投球人形のうしろからレーンを見たカト

やはり元ネタあり

ではそもそも、いったいなぜブリキ製で、その上ボウリングゲームに必須とも言うべきピンセッティング装置を搭載しない原始的ボウリングゲームを製造・販売する必要があったのか?

早速ネットで調べてみると、思った通り、やはり「元ネタ」が存在した。
発売年は不明だが「Roket Bowing」という商品名で、少なくとも写真で見る限り、素材・サイズそしてパッケージまで本機と酷似している(商品パッケージは単に左右を逆にしただけのもの)。

同機における投球人形(もちろんブリキ製)は、艶やかな黒髪を後ろに撫でつけたリーゼント、水色も鮮やかな長袖シャツ、そして白の縦縞が目にまぶしい黒のパンツにピッカピカの白い靴と、まさに黄金の1950年代のボウリングファッションに身を包んだ男性。

その画像は著作権の関係でご覧に入れられずに残念だが、ebay.comで「rocket bowling」で検索するといつくか出品されていることが確認できるので、この「元ネタ」もアメリカではそこそこ人気のゲームであったと想像できる。

つまり「Rocket Bowling」を製造・販売したメーカーがアメリカ国内における「シンプソンズ」の高い人気に目をつけ、主人公・ホーマーを投球人形に起用したキャラクター戦略でひと儲けを目論んだのではあるまいか。

ところが、この「Rocket Bowling」自体、パッケージに製造年は印刷されていないものの、ある出品者のページでは「2003年製造」と書かれいている。
それが本当だとしたら2002年発売の本機よりむしろ後のことでないか…謎は深まる。

そこで以下は現時点では何ら根拠のない単なる妄想。
かつて一度(例えば1950年代あたりに)販売されたていた商品が2002~2003年にかけてリバイバル発売され、その際、従来と版と併せて、テレビの人気キャラクター、ホーマーを投球人形に採用した「シンプソン・ヴァージョン」が発売された、というバックストーリーもあながち無謀な推論とは言えまい。

いずれにせよこのいかにもアメリカンな雰囲気を漂わせる本機、インテリアとしては(広いリビングに飾るなら)それなりに味があるかもしれないが、純粋にボウリングゲームとして見ると、誠に残念ながら、評価すべき点はほとんど見い出せない。
「シンプソンズ」マニア向けのコレクター商品といったところか。

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