オールスターサッカーゲーム

発売年不明/ヨネザワ

オールスターサッカーゲーム 全景

老舗の意地

この手のサッカーゲームといえば当時はそれこそエポック社の独壇場で、筆者が小学5年の正月、親に買ってもらったのも同社の「サッカーゲームジュニア」だった。

従ってこの頃、ヨネザワからも同種のサッカーゲームが発売されていたと知ったのはずっと後になってからのこと。

ヨネザワこと米澤玩具の創業は昭和7年(1932)というから斯界では老舗の部類に入ろう。
1950年代から1960年代にかけてのブリキ製玩具全盛期には幾多の名作を世に送り出した。

しかし昭和33年(1958)、彗星のように現れたエポック社が野球盤で当時の子供たちの圧倒的な人気を勝ち得るだけでなく、さらにその勢いを駆って魚雷戦ゲームやサッカーゲームなどのヒット作を連発する。

それを横目で見ていたヨネザワとしては当然面白くなかろう。
本機からは「ウチだって本気を出せばこのくらいのゲームは楽勝で作れますよ」という、老舗の意地とプライドがひしひしと伝わってくるかのようだ。

ちなみにピッチ部分はブリキだが筐体はプラスチック、底はなんとボール紙でできている。
このボール紙底は同社の先代サッカーゲームと同じ構造で、もはやヨネザワのお家芸と呼ぶべきものだろう。



オールスターサッカーゲーム 選手人形

ゴーゴーダンス

サッカー(ならびにホッケー)ゲームにおけるヨネザワとエポック社の最大の相違点は「選手人形のリアリティ」、これに尽きよう。

エポック社はブリキ板の選手人形時代においてさえもカッコいい外国人選手が描かれていて操作するのも実に楽しかった。

本機における選手人形はプラスチック成型だが、手振りといい表情といいヘアスタイルといい、およそサッカー選手らしくないルックスが哀しい。
まるで商店街青年部の若旦那たちが暑気払いの飲み会の余興に同時流行ったゴーゴーダンスを踊っているかのようだ。

このアンチャンたちに感情移入しろ、という方が無理というものだろう。



オールスターサッカーゲーム 白熱の好ゲーム

体操選手か

敵の正面からの渾身のシュートを横っ飛びで受け止めるキーパーの体を張った守備には思わず「ナイスセーブ!」と絶叫したくなるが、よく見ると彼はサッカー選手というよりむしろ体操選手。

この直後、側転から後ろ宙がえりを華麗に決めてくれそうだ。

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