富士野球盤B型
昭和35年(1960)/河田
黎明期の野球盤
またまた非エポック社野球盤の登場だ。
本機の外箱に書かれているキャッチフレーズには「カーブのつく1960年型カラー印刷B型」とあることから、当然発売は昭和35年(1960)であろうと推測できる。
商品名は「富士野球盤B型」だが、外箱に発売元の記載がないので富士というメーカー名とは限らない。某雑誌では本機は老舗玩具メーカーK社発売と紹介されているが、確証がないのでここに記すことは差し控える。
いずれにせよ、本機が初期野球盤開発~販売競争の一端を担っていたであろうことは間違いない。球場外周はプラスチック、グラウンドは合板、一辺が52cmの正方形
■2021.12.12追記
国内ゲーム販売史なるウェブサイトに本機の発売元が「河田」との記述を発見したの当サイトでも発売元を河田とする。
■2022.04.11追記
小学館発行の雑誌「小学五年生 昭和35年9月号」裏表紙上段に、本機をベースにしたディズニー野球盤A型の広告が掲載されている。
そこには「富士野球盤¥500」との表示があり、さらに「発売元 河田商店」と明記されていることから、本機を発売したのは河田(当時は"商店"がつく)とする。
同広告については「ディズニー野球盤A型」の稿を参照されたい。
ほのぼのイラスト
外箱に「カラー印刷」と謳ってある通り、盤面のカラー印刷が美しい。
特に短縮法を駆使した俯瞰視点の圧縮法による人物描写がしっかり影まで描き込まれていて実に味わい深い。
この俯瞰視点・圧縮法による人物イラストは奇しくも同年に発売されたエポック社「野球盤E型」と酷似しているが、エポック社のそれが9頭身のグッドルッキングであるのに対し、こちらはどこか草野球を思わせる体型の選手やコーチがほのぼのとしたタッチで描かれている。
カーブ機能
スコアボード裏にある投球制御装置。
縦に動く黄色いレバーは投球速度をコントロールする。
そしてその左下にある横方向に動く白いレバーは地下に埋設された磁石と直結して投球に変化をつける。
レバーを左に動かすと左に、右に動かすと右方向に、ボールが打者の手前で変化する仕組みになっている。
しかし実際には経年劣化の影響か、まったく曲がらなかったり、そうかと思えばトンデモナク曲がったり、ほとんど制御不能。
もっともそれ以前に、打球装置が破損しているので、直球であろうがカーブであろうが、まったく手が出せない。