ニュー魚雷戦ゲーム(二代目)

昭和43年(1968)/エポック社

魚雷戦ゲーム(二代目) 全景

1年後に早くも二代目登場

前年に発売された初代機の大ヒット(実際にどれだけの販売を記録したかは未確認)を受け、翌昭和43年(1968)に発売された二代目となる魚雷戦ゲーム。

とはいえ、基本的な構造や遊び方、得点システムは変わらないので、それらに関しては「魚雷戦ゲーム(初代)」の項をご参照いただくとして、本稿ではその初代機と本機つまり二代目の違い(改良点)についての言及を試みる。


魚雷戦ゲーム(二代目) パッケージイラスト

ちなみに本機のパッケージに描かれたイラストは初代機のそれを左右反転したような構図で、恐らくは同じイラストレーターが継続起用されたものと思われる。



魚雷戦ゲーム(二代目) 初代機との筐体の色比較

改良点1:筐体の色

初代機(写真奥)の筐体が濃紺であったのに対し、本機(写真手前)のそれは魚雷発射装置と同じ灰色に変わっている。

恐らく初代機においては全体的に「大海原」を表現するため、濃紺の筐体が採用されたと思われる。

それはそれで理解できるが、一方で魚雷発射装置が据え付けられているはずの戦艦の甲板?部分が濃紺であるのに違和感を覚えないこともない。

その点本機では、その点を勘案して甲板部分含めた筐体全体が灰色に変えられている。

開発陣は筐体の色に「大海原」を意味する濃紺を選ぶか、それとも「戦艦の甲板」を表現する灰色のどちらを選ぶかで、かなり苦慮したに違いない。

しかし本機を見る限り、魚雷発射装置の「甲板上に据え付けられている」というリアル感が増したことは間違いない。



魚雷戦ゲーム(二代目) 初代機とのサイズ比較

改良点2:サイズ

初代機(写真右)が全長約40cmであるのに対し、二代目となる本機(写真左)のそれは約43cmと、3cmほど長くなっている。


魚雷戦ゲーム(二代目) 初代機との溝部分の長さ比較

水中を潜行してきた(という設定の)鉄球や撃沈された戦艦は手前の溝に落ちる。

初代機においてはその溝の奥行が約2.5cm(写真右)だったものが、本機は約4cm(写真左)と、1.5cm分広げられている。
それが2か所あるので全体として3cmの伸長となったわけだ。

実はこの変更、決して目立たないが極めて大きな意味を持つ適切な改良であったといえよう。

初代機では溝が狭いため、落ちた鉄球や沈没した戦艦を指で拾い上げるのに少々手間を食った。
その溝が広くなった二代目の本機では、いずれも楽々とつまみ上げられる。

たった1.5cmであるが、この隠れた改良点の意義は大きい。
エポック社が常に「遊戯者の利便性・快適さ」を最重要視して、そのための改善を重ねているかという良き証左であると断言できよう。



魚雷戦ゲーム(二代目) パッケージ

改良点3:発射口の独立化

初代機においては左右どちらの魚雷発射装置のボタンを押しても、発射された魚雷は「左右共通の鉄板」を下って水中に飛び込む。
つまり、広い鉄板を下る過程で遊戯者が狙った角度に若干の狂いが発生しないとも限らない。

ところが本機においては発射口は左右独立式の成型プラスチック製の円筒が採用されている。
これにより遊戯者はほぼ狙った角度通りの魚雷発射が可能になる。

しかしそのことが敵戦艦へのより容易な命中を可能にし、皮肉なことにより早く飽きられる遠因となった可能性も否定できない。
(この独立式発射口が実際に命中率向上に貢献できたかは未確認)

半世紀前のおぼろげな経験に基づいて個人的に言えば、敵戦艦に当たりやすくなればなるほどゲーム自体への飽きが早くやってくると感じている。

逆に命中率を低下させるためには、戦艦の船底部の突起をもっと細くするというのも1つのアイデアだと思うが、この点、エポック社ははるか後年、意表を突く「魚雷回避装置」を搭載した機種を発表する。

しかしそれより前に、本機の3年後に発売される三代目において、魚雷戦ゲーム史上最も画期的な、あの装置が搭載される。

いよいよ、当時小学5年生だった筆者を束の間(笑)虜にした名機の登場だ。

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