パーフェクトボウリングジュニアー
昭和46年(1971)/エポック社
人気機種の小型版
どうやらこの頃のエポック社には、ことアナログゲームに関しては「大/中/小」3種類の商品展開戦略があったように思われる。
野球盤(A型/B型/C型)しかり、サッカー(ジャンボ/デラックス/レギュラー)しかし、そしてこのパーフェクトボウリングもそう。本機はレギュラーのパーフェクトボウリングより小型の、その名もジュニアー。
販売価格はパーフェクトボウリングの¥2,650に対して本機は¥1,200とお手頃。当時のチラシには
「ジュニアボウリングもすてきな魅力がつまっています。すこし小型です」とある。
確かにレーンが短くなり、せり上がり式ピンセッターが採用されていない分、高さもぐっと低くなくなったが、それでも当時私が親に散々ねだってやっとのことで買ってもらった野村トーイの「ファミリーボーリング」などより、はるかにリアルかつゴージャスだ(この辺がわれながら実に執念深い)。
不安定なピンセッター
本機におけるピンのセッティングは、写真のようにピンを差し込んだのち、セッターを上方に持ち上げる、いわゆる「開閉式」を採用。
この類のピンセッターは、デザインこそ違え、他メーカーの(比較的安価な)ボウリングゲームに多く採用されている、もっとも一般的な方式。
特に本機のピンセッターは、そのヘッド部分が一見ホンモノのボウリング場のそれを模していて、デザイン的にはヒッジョーにカッコいいのだが、投球時にはこのピンセッター、レーン後方まで反り返らず、ほぼ90度真上に持ち上げられた位置でプレイヤーの第1投終了まで待機することになる。
実はここにちょいとした問題が潜んでいる。
機構的にピンセッターの締め付けが甘いせいか、ふとしたはずみにレーン上に下りてきてしまうことがあるのだ。
もしそれが間の悪いことに、一発逆転を駆けた10フレームの投球中に発生したりすると…お定まりのケンカのもととなろうことは、容易に想像できよう。
しかしそこはさすがエポック社、上述の本機におけるピンセッターの脆弱性を見事に解決した画期的な次作機を、この翌年に発表することになる。
手負いの投球人形
長年に及ぶ猛練習と連戦に次ぐ連戦は、いかに頑強な投球人形であろうと、その肉体、特に右腕を徐々に蝕んでいく。
そしてある日、とうとう限界を迎えた彼の右手首は蓄積疲労に耐え兼ね、ついにポキリと折れてしまう。
しかし悲しいかな、この期に及んで彼の代わりは誰にも務まらない。
おもちゃ病院に入院すらさせてもらえず当然手術も受けられらず、間に合わせの添え木をグルグル巻きにされた哀れな姿で、彼は今日も黙々と、ピンめがけて重いボウルを投げる、もとい弾き跳ばすのであった。