ディズニー野球盤B型

発売年不明/河田・任天堂骨牌

ディズニー野球盤B型 河田・任天堂骨牌 全景

小型化した2作目

昭和35年(1960)発売のディズニー野球盤A型に続く河田・任天堂タッグによる2作目。

ディズニー野球盤B型 河田・任天堂骨牌 遊び方表
ディズニー野球盤B型 河田・任天堂骨牌 遊び方裏

詳細は発売年は不明だが、付属の遊び方裏面下には「製造元 任天堂骨牌株式會社」と明記されている。
同社は昭和38年(1963)に現社名の「任天堂株式会社」に商号変更していることから、本機の発売は昭和36年(1961)~昭和37年(1962)の間と考えられる。

A型を二回りほど小型化した本機は、ディズニー野球盤A型の項でも触れている通り、河田製の富士野球盤をベースに、その盤面をディズニー仕様に変更したもので、本機では小型の富士野球盤C型が基本となっている。
ただし、富士野球盤C型では筐体が木製(合板)であったのに対し、本機のそれは富士野球盤B型及び同機と同一構造のディズニー野球盤A型と同様、青い成型プラスチックに変わっている。



ディズニー野球盤B型 河田・任天堂骨牌 バックスクリーン裏の投球装置

イラストが一変

本機の特長はもちろん盤面を彩るディズニーの人気キャラクターたちだが、イラストの作風はA型とは大きく異なる。

ディズニー野球盤A型の項でも取り上げているが、同機の盤面に描かれたディズニーのキャラクターイラストは、任天堂骨牌がライセンス契約を結ぶウォルト・ディズニー社(以下WD社)から提供されたものとはとても思えない、悲惨なクオリティのものだった。

ところが本機においてはそんな過去の汚点?を吹き飛ばすかのように、ディズニー本来の容貌・体型・アクションを兼ね備えた愉快なネズミとアヒルがそれぞれ複数、グラウンド狭しと躍動している。

この大きな改良の経緯を、誰に頼まれもしないのに例によって勝手に推理すると(いわゆる邪推もしくは妄想)、

■A型における酷いキャラクターイラストがWD社の目に留まり、その逆鱗に触れた。
■国内のユーザーから「とてもディズニーのキャラクターに見えない」との非難とクレームを浴びた。

などの理由が考えられる、あるいはその両方かも知れない。

また、A型で見られたリスや犬、象、木の人形など、その他のキャラクターたちは、本機ではなぜか姿を消している。
ともかく、本機においてようやく「ディズニー」の名を冠するに相応しい野球盤が完成したと言っても過言ではないだろう。



ディズニー野球盤B型 エポック社 河田・任天堂 ネズミとアヒル

異時同図法?

数あるディズニーキャラクターの中でも、今日ではネズミが群を抜いた人気を誇っているが、60年ほど前、ネズミとアヒルは人気の点で双璧ではあったように記憶している。

実際、筆者も幼稚園の頃(1963~1965)はネズミではなく、断然アヒルのファンだった。

優等生キャラのネズミとは対照的にいたずら好きのアヒルは、本機においても3塁コーチスボックスに陣取り、3塁手のネズミに「落とせ~」とばかり、捕球の邪魔をしているようにも見える。

ディズニー野球盤B型 エポック社 河田・任天堂 盤面に複数いるネズミ

しかし本機における最大の問題点は、本来単体であるべきはずのネズミが、まるでクローンのように盤面上に複数存在していること。
千葉・舞浜の夢の国においても、ネズミは同時に2か所以上に出没することはないと聞いている。

もっとも、これがいわゆる「異時同図法」(絵の中で時間が流れていることを表現する方法)で描かれていると無理矢理にでもこじつければ、まあ納得がいかないこともない。

■2022.04.12追記
本機は外箱に「カーブのつく」と明記されているものの、投球を変化させるためのレバーがない。
しかしレバーの引っ張り具合を加減して投球速度を遅くすることで、投球が勝手に変化する仕組みになっている。
この点については本機と同じサイズ・構造を持つ「富士野球盤C型」の項で詳述しているので参照されたい。

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