ティズニー野球盤C型

昭和44年(1969)推定/エポック社

ティズニー野球盤C型 全景

盤面に踊るディズニーキャラクター

本機は盤面に描かれたディズニーキャラクターを除けば、外箱デザイン・サイズ・仕様・グラウンド内外野のイラストに至るまで、昭和44年(1969)発売の「巨人の星野球盤C型」と同じ。
よって発売も同じ年であろうと勝手に推測した。

したがって本機は盤面デザインにディズニーキャラクターを起用したという以外、他機種と差別化でき得る決定的な特徴・機能があるわけではない。

しかし逆に、盤面デザインにディズニーキャラクターを起用したということ自体が、ある意味大事件と言えるのだ。



ティズニー野球盤C型 上方から

なぜディズニーなのか

盤面デザインにディズニーキャラクターが起用されるのは、実はこれが初めてではない。

本機の発売を昭和44年(1969)とすれば、それを遡ること9年前、昭和35年(1960)に、河田商店・任天堂骨牌から「ディズニー野球盤A型」が発売され、その後も発売年不明ながら後続機種として同じ河田・任天堂連合軍から「ディズニー野球盤B型」が発売されている。

それぞれの項において無責任極まりない邪推を展開しているように、恐らくは諸事情により河田・任天堂連合軍はその後時を経ずして野球盤事業から撤退し、市場はほぼエポック社の一強、寡占状態となる。

しかしその後約9年もの時を経て、なぜエポック社はあえて、かつてライバル社の手で一度市場に出てはすぐに消えたディズニーキャラクターをメインに据えた野球盤を世に問うたのだろうか?

権利関係の問題からか、本機はエポック社の野球盤公式サイトにも掲載されておらず、今は史料と呼べるべきものはなにもないので、ここも例によって勝手に邪推することをお許しいただこう。

簡単に言ってしまえば、「巨人の星野球盤C型」を男児向けとすると、対する女児向けのキャラクターとして、恐らく当時はすでに任天堂との契約が終了していたであろうディズニーに白羽の矢を立てた、というところではなかろうか。

つまり、市場のすそ野をさらに広げるため「野球盤のより低年齢化(それまでの小学校高学年以上向けのゲームのみならず、中低学年かそれ以下の幼児向け玩具として提供する)戦略」を、星飛雄馬とこのディズニーに託したのではないか。



ティズニー野球盤C型 スコアボード裏から

イラストの完成度は過去最高だが

河田・任天堂連合軍の野球盤に描かれたディズニーキャラクターのクオリティには、正直なところ疑問符のつくものが多かった(特にA型において極めて顕著)。

それから9年の時を経て、発売元こそ違えども、いわば仕切り直し?の形で再び世に出たディズニーのキャラクターたちは、旧作とは見違えるほどの完成度の高さを示しており、それは恥ずかしながらディズニーに疎い筆者が見ても一目瞭然だ。

その一方、マウンドで力投する主役のネズミやアヒル、リス、犬、木製人形などはおなじみの人気キャラクターだが、その他の内外野に散らばるキャラクターの中には「こんなのいたっけ?」と首をかしげざるを得ないようなレアな脇役たち?も散見される。

もっとも、ディズニーにお詳しい方であれば、それらのキャラクターも簡単に言い当てられるかもしれない。
そのあたりについては、下の動画でご確認いただきたい。

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