オバQ野球盤F型
昭和41年(1966)推定/エポック社
オバQまで駆り出される
1965年にTBSテレビでアニメ放映が開始され、爆発的ブームを呼んだ藤子不二雄作のギャグ漫画「オバケのQ太郎」を盤面にあしらった野球盤。
盤面ブリント以外の筐体素材・サイズ・機能は下記2機種と同一で、本機もまたエポック社「キャラクター野球盤」戦略商品の一翼を担っている。
国民的人気アニメ
アニメがテレビ放映されていた当時のオバケのQ太郎人気の高さは、今日ではなかなか想像できない。
それまでの鉄腕アトムや鉄人28号といった強く正しい正義の味方が大活躍するSFヒーローものとは正反対の、かわいらしいオバケが面白おかしく活躍する(それもある意味SFと言えないこともないが)ギャグアニメだ。
アニメの放映が開始された当時小学2年生だった筆者もご多分に漏れずアニメ「オバQ」に夢中になった。
筆者自身、目が大きく(当時のあだ名は出目金)、犬が怖いという共通点があったためか、オバQには人一倍親しみを覚え、毎週の放映を指折り数えて楽しみに待ったという記憶は、半世紀以上を経た今日でも、頭の片隅にしっかりと根付いている。
野球盤の中でも屈指のレア品
しかし、アトムのようなヒーローでもなく、また星飛雄馬のような野球選手でもない、いくら当時圧倒的人気を誇っていたとは言え、コミカルなオバケのキャラクターが野球盤の売上げに貢献したのかは定かではない。
盤面プリントを見ても、大嫌いな犬から逃げ回ったり、打球が頭部を直撃したり、大きな口に飛び込んだりする、コミカルなオバQのオンパレードだ。
ここまでくると本機はもはや、スピーディかつスリリングなプレーを楽しむ本格的卓上野球ゲームというよりは、野球の基本的ルールを知らない未就学児でさえ、親と一緒に楽しく遊べる「野球ゲームごっこ」という範疇に括られて然るべき存在かと思われる。
そう考えると本機における「F型」のFには、ファミリーという意味も込められてるかもしれない。
本機がどれだけ売れたのかは知る由もないが、インターネットオークションでほぼ常に出品されている「巨人の星野球盤C型」や、たま~に出品を見かける「アトム野球盤F型」と異なり、本機が出品されることは極めて稀であり、その際は激しい入札競争となり、かなりの高額で落札されるが通例だ。
これは本機が単に数少ない、貴重な野球盤であるということ以上に、キャラクター商品として「オバQ」コレクターが熱視線を注いでいるものと推察できよう。