野球盤CM型

昭和47年(1972)/エポック社

野球盤CM型 全景
野球盤CM型 AM型とのサイズ比較

野球盤新時代の到来

エポック社野球盤史上最大の売上を記録したと言われる歴史的名機・「野球盤AM型」の1年前、昭和47年(1972)に発売された、AM型の登場を予告するその廉価版とも言える本機。

しかしサイズこそ43㎝×43㎝と、AM型(52㎝×52㎝)に比べると少々見劣りするものの、革命的な魔球装置をはじめ、ワンタッチヒッティング装置(下の写真2点参照)やダイヤルカウンター装置など、搭載されている機能はAM型とほとんどかわらない。

画期的なスイッチヒッター機能こそ本機には実装されてはいないが、営業戦略としてそのくらいの差別化は必要だろう。

それ以上に力説しておきたいのは筐体の構造ならびに素材における一大革新。

昭和45年(1970)発売の「デラックス野球盤」(個人的にはエポック社野球盤史上に燦然と輝く最高傑作だと信じて疑わない)において初めて採用された、成型プラスチックによる観客スタンドは、その4年後、本機とAM型の野球盤に引き続き使用され、これ以降長きにわり脈々と引き継がれることになる。

本機は昭和40年代も後半を迎え、わが国の工業生産能力が飛躍的な高まりを見せた証左の一端ともいえるだろう。



野球盤CM型 ワンタッチヒッティング①
野球盤CM型 ワンタッチヒッティング②

目に鮮やかすぎる黄色いスタンド

本機とAM型におけるサイズ以外の大きな違いは、なんといっても観客スタンドの色だろう。

AM型のスタンドは外野グラウンドの延長線上にあるような落ち着いた緑色であるのに対し、本機のスタンドと内外野の補給ポケットはなぜか目にも鮮やかすぎる黄色だ。

サイズや機能以外にも、色合いによってAM型と差別化を図る狙いがあったのかもしれないが、ともすると安っぽく見えるのは気のせいか。
それとも、観客席全体に響き渡る熱狂的な「黄色い声援」をイメージしたものか?
まさか。



野球盤CM型 選手イラスト
野球盤CM型 コーチイラスト

草野球チームが大活躍

本機の独自性ということで注目すべきは盤面に描かれた選手のイラスト。

守備側は「エポックス」、攻撃側は「スターズ」という架空の球団。

選手イラストそのものは大胆な陰影を取り入れた、当時としてはかなり先進的なタッチで描かれてはいるが、選手のポーズ自体は過去の「オールスター野球盤①~③」からの借り物のようにも思える。

そのせいか、プロ野球チームというより、むしろ町の草野球チームが観客席のある本格的野球場を借り切って、日曜午前中に試合を楽しんでいるかのようにも見える。

まあそれはそれでなんとも微笑ましい光景ではあるが。

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